益田のつぶやき

①アレッポの石鹸

私は風呂ではもっぱらアレッポの石鹸を使っている。たまたま店で見た時になんとなく良さそうで、使ってみたら思った以上に良かったから手放せなくなった。説明書によると何千年も前からシリアに伝わるやり方でオリーブとローレルの油から作られる石鹸ということなので、なるほどと納得していた。

ところが、ニュースによるとアレッポはISISの活動拠点らしい。そこで作られる決して安くない石鹸を何十個も買いたしてきた私の金は、もしかしたら彼らの活動資金になっているのだろうか、という疑問がわいてきた。私が毎日風呂で泡だらけになるたびに誰かの命が奪われて行くのだとしたら極めて不愉快だ。しかし、もしかしたら石鹸職人とその家族たちはISISの支配下でも必死で石鹸を作り続けることでなんとか暮らしてゆけているのかもしれない。それなら応援しなければならない。さて、どうしたものか。 

最近、エシカル・コンサンプション、つまり倫理的消費という言葉をよく聞くようになった。倫理的に正しいと思う物やサービスを使おうということなのだが、さて、こんなとき、どうやったら倫理的に正しい行動がとれるのだろうか。

私の場合は調べることにした。まず、石鹸のラベルに表示されている輸入元や発売元に電話をかけて聞いてみる。通じなかったり、知らないと言われたりで、らちが明かない。ネットや広告など片っ端から調べてゆくが分からない。

使っている石鹸が段々ちびてきて、このままゆくと風呂で体が洗えなくなってしまうという頃に、ある薬屋の店頭で山積みになっているアレッポの石鹸を見つけた。表示にあった、いつものとは違う電話番号にかけてみたところ、やっと事情がわかった。

その石鹸の作り手は戦乱のアレッポを抜け出して隣国に逃れ、苦労の末同じ製法で作り続けているとのこと。ああ、それならばと倫理的に納得して5、6個買ってきたので、安心して泡だらけになれる。

しかしながら、ISISの側こそ倫理的だと考える人も少なからずいるということを考えると、倫理的消費と言ってもなかなか一筋縄ではいかないのが悩みだ。